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地の底に叩き落す、言葉をひとつ
番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。


政府によりますと、ゾンビ規正法により、200X年4月1日から、公的私的を問わず、正当な理由無くしてゾンビ、リビングデッド、アンデッド、その他それらに準ずる物に関する映像、画像、音声、書籍等を所持する事、及び、それらに関して言及する事が禁じられる運びとなりました。違反者には、最高で無期懲役の刑が処されることとなります。

なお、現在個人で所持所有しているゾンビ、リビングデッド等に関する物品等については、200X年4月1日の施行までに全ての詳細を明らかにした上で、処分した事を国に申請、証明する必要があります。申請・証明書は、各市区町村役場で配布され、郵送での取り寄せも可能となる予定です。公的機関で所有する物品等についても、ごく一部を除き、ほぼ同様の扱いとなります。所定の証明書の提出が無い場合には、95万円以下の罰金が課せられる他、司法当局による強制調査、監査が実施される予定です。

なお、大量の該当物品を所有しており、法令の施行までに全ての処分が困難な場合は、所定の証明書の提出時に、詳細、及び、処分が困難な理由を添えて申請を行い、その内容が正当であると認められた場合に限り、2ヶ月の猶予期間が与えられます。

また、ゾンビ、リビングデッド等以外のホラー、オカルトと呼ばれる分野についても、順次規制していく予定とのことです。


以上、臨時ニュースをお伝えしました。


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独り言
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by zbeat | 2006-05-19 02:45 | リビングデッド、もしくはゾンビ
絶景
というわけで、お題は一休みでございます。

かれこれ10年近くも昔、渡米中のことです。
私が滞在していたのは、アメリカ北中部、片田舎の町でした。
家は大学に程近く、周辺は拓けているものの、
車で数十分も走れば、一面の畑。
高速に乗れば、左右は畑どころか、広大な牧場が延々と続く。
私はそこで、生まれてはじめて地平線を目にしました。
チーズとトウモロコシが名産の田舎町でした。

ある晩、少し……いや、かなり(笑)離れた、
となり街のショッピング・モールへ車で出かけた帰り道。
ふと気がつくと、私たちの乗る車は、見渡す限りの
トウモロコシ畑の真ん中を通る、一本道を走っていました。

青白く煌々と降り注ぐ月明かりの下で、
たわわに実ったトウモロコシの群れが、風にそよぐ。

その光景に見蕩れる私に気づいて、
彼女は車を停めてくれました。
きれいでしょう、と言って。

車を降りて、トウモロコシ畑を見渡し、
若い植物の、あの青臭い緑の匂いに包まれて、
私は、嘘偽り無く、心の底から、
その長閑(のどか)な美しさに感嘆しました。
まさに、絶景、と。

そして、その数瞬後。
えもいわれぬ、仄昏い恐怖を感じました。

ただしそれは、背筋を氷が走り抜けるような鋭い恐怖ではなく、
項(うなじ)をひんやりとした柔らかい指先でそっと撫でられたような、
ほんのりとして、緩やかな恐怖。

私の無意識かには、多分、スティーヴン・キングの
『トウモロコシ畑の子供たち』があったことは否めません。
けれども、そのときの私は、それに思い至ることも無く、
ただ、空寒いものを感じただけです。

月明かりに照らされた、だだっ広いトウモロコシ畑のなかには、
なにか、得体の知れない忌まわしいモノが潜んでいる。
その思いは、車に乗り込み、トウモロコシ畑をあとにしても、
消えることはありませんでした。

きっと、美しい光景というものは、ただそれだけで、
絶大な力を持っていて、人間の心、というより、
意識の奥深くになにかを呼びかけ、
人間もまた、その呼びかけに、応えるのでしょう。
そして、その絶景から溢れくる絶対的な力と、
圧倒的な存在感に、たかが人間が敵うはずもなく、
だから人間は、そこに感動を覚え、
同時に、恐怖すら感じるのだと、私は思います。

かのスティーヴン・キングも、こんな光景を目にして
『トウモロコシ畑の子供たち』を書き上げたのだろうか。
そう考えると、ほんの少しだけ、
彼の領域に踏み入ることができたように思えて、
なんとも妖しげな幸福を感じます。


もう一度、あの場所へ行きたい。



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by zbeat | 2006-05-17 21:17 | スティーヴン・キング
ふと気がついた
5月になってから、お題しか更新していないのね、私……。
全然ゾンビについて語ってないじゃないか。
(ある意味語っているが。)

……いや、言い訳するとね、
今、頭ん中はゾンビでいっぱいなんですよ。
で、それがお題の方向にばっかり進んでるんです(笑)。
無駄に創作意欲全開。

なんだろうねー、このムラは……(溜息)。



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by zbeat | 2006-05-16 01:12 | 戯言
他にはなにもいらなかった
貴方と、ふたりの子供との、平凡だけど、幸せな生活。
お金がなくたって、それさえあれば、
他にはなにも要らなかった。
それさえ守ることができれば、それでよかった。

なのに、貴方が、それを全部ぶち壊した。
朝、いつものように会社へ行った貴方は、
深夜になっても戻らなくて、
浮気でもしているのか、事故にでも遭ったのかと気を揉んで、
私の不安も心配も限界に達しはじめた明け方に、
やっと戻ってきた。

ゾンビになって。

半ば放心したように、浅い眠りのなかにうとうととまどろんでいた私が、
世界を取り戻す前に、貴方は、子供たちの部屋に向かったらしい。

下の子の悲鳴に跳ね起きて、子供部屋に向かった私が見たものは、
無残に食い荒らされた上の子の残骸と、
生きながらはらわたを引き摺り出されようとしている、
下の子の姿だった。

私は半狂乱になって、貴方から下の子を引き離そうとしたけれど、
無駄だった。
私が再び腕に抱いたとき、その子はもう、息絶えていた。

貴方は私の大切なものを、私の幸せを、
全部、ぶち壊してしまった。
他にはなにも要らなかったのに。
私が望んだ唯一のものを、よりによって貴方が、
すべて奪っていった。

一度の浮気ぐらい、なにも知らないことにして、
赦してあげようと思っていた。
どんな事故に遭っても、不治の病に倒れようと、
貴方が生きている限りは、
なんとかなると思っていた。

それなのに。

よりによって、ゾンビになって帰ってくるだなんて。
よくもそんな酷い仕打ちができたわね。

絶対に、絶対に、
絶対に赦さない。
私からなにもかもを奪い去った貴方を、
私は絶対に赦さない。


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by zbeat | 2006-05-13 20:58 | リビングデッド、もしくはゾンビ
どうか呪ってください
どうか呪ってください。
この腐敗した世界。
この醜悪な世界。
神でもあくまでも鬼でも、なんでも構わない。
どうかこの世界を、呪ってください。

そう祈っていたら、どうやら現実になったらしい。
世界が呪われたのじゃなければ、
どうしてこんな風に、死人が生き返って人を喰うんだ。

正直に言って、僕は、嬉しい。
世界中の人間が皆、ゾンビになってしまえばいいんだ。


でもそうしたら、今度は何を呪おう。
……僕自身でも呪おうか。


神でも悪魔でも鬼でも、なんでも構わないから、
どうか呪ってください、この僕を。
この堕落した僕を。

どうか、呪ってください。


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by zbeat | 2006-05-11 03:02 | リビングデッド、もしくはゾンビ
君の腕を振り解いて、
僕は逃げ出した。

待って、という、君の声が聞こえたような気がしたけれど、
解っている、それは気のせい。
というより、気の迷い。

ゾンビになった君が僕を追うのは、
僕を愛しているからじゃなくて、
僕が君の餌に成り下がったから。

違う、そうじゃない。
君が、僕の捕食者に成り下がったんだ。

君がゾンビになっても愛し続けると言ったけど、
実際、君のことを憎んだりは今もしていないけど、
それでもやっぱり、君に喰われて、
人類の捕食者に成り下がるのは嫌だよ。

君の腕を振りほどいて、僕は逃げ出した。
いつか別の誰かが、あるいは僕自身が、
君を殺すことがあるかもしれない。

だけど僕が僕として存在している限り、
僕の胸の中で、心の内で、
君は昔の姿のまま、優しく微笑みながら、
永久に僕に寄り添い続ける。
そこでの僕は、君の腕を振りほどいたりしない。
手を取り合って。一緒にいるよ。


だから僕は、幸せだよ。


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by zbeat | 2006-05-10 23:29 | リビングデッド、もしくはゾンビ
置き去りの子供
いらないなんて言わないで

子供は、ゾンビに噛まれたが故に、
母親に見捨てられ、置き去りにされた。

その子供は、傷んだ体を引き摺って、
暫くの間、独りで彷徨い続けた。

だが、ゾンビになることはなかった。

その前に、喰らい尽くされた。


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by zbeat | 2006-05-09 00:14 | リビングデッド、もしくはゾンビ
棄ててしまいたいのに
棄ててしまいたいのに、どうしても棄てられないモノがある。
何度も棄てようとしたけれど、結局それはできなくて、
今もまだ、窓辺に置かれたままなのは、
貴方の首。

ゾンビになった貴方の頭を、私は鉈で斬り落とした。
そうやって貴方を葬って、それで終わりのつもりだった。
なのに。
貴方の首は、まだ、窓辺に鎮座している。

だって。
首を刎ねられてもまだ、貴方のその頭は、
生きていたんだもの。
生きていて、それを抱いた私の腕に、
喰らいつこうとしたんだもの。

そのとき。
私はそんな貴方の殺し方も知らなくて、
そんな貴方をその場に棄てて行くこともできなくて、
噛まれないように注意しながら、
首だけになった貴方を連れて帰った。
頭だけになってしまった貴方は、
自分で動くことはできないから、
そうやって一緒にいても、危険は無いと思った。

だけど。
私は、大事なことを忘れていた。
貴方はたしかに生きているけれど、死んでもいるから。
だから腐敗する。

窓辺に置かれた貴方の首は、
どんよりと濁った眼で私を追いかけるけれど、
どんどん腐って、強烈な臭気を放って、
腐汁を滴らせている。
もう何処にも、貴方の面影は無い。

棄ててしまいたいのに棄てられないのは、
そんな貴方をまだ愛しているからでは、もう決してなくて、
ただ単に、そんな腐り果てた貴方に触れるもの厭だから。


だから。
私はここを出て行くから、
貴方はそこで、腐り続けて朽ち果てるが良い。


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by zbeat | 2006-05-07 00:28 | リビングデッド、もしくはゾンビ
刻まれた刻印
額に刻まれた刻印は、
悪魔除けの印だと言っていたけれど。

効果は無かったね。
貴方は結局、ゾンビになった。

でも不思議なことに、貴方は、
目の前に私という恰好の獲物が居るにも拘らず、
私には目もくれず、指一本も触れずに、
何処かへ行ってしまった。

貴方は今も、あの印を額につけて、
この世界を彷徨っているのかしら。

もう二度と逢うこともないだろうけど、
あの悪魔除けの刻印は、少なくとも、
私には、効果があったのかも知れないね。


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by zbeat | 2006-05-06 19:14 | リビングデッド、もしくはゾンビ
手を伸ばし、声を張り上げても
どれほど叫んでも、
救いの手が差し伸べられることはない。

私はこのまま、生きながらにして、
引き裂かれ、喰われ、
奴等と同じ、生ける屍になる。

ああせめて、どうか、それほどは長く、
苦しみが続きませんように。


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by zbeat | 2006-05-05 23:54 | リビングデッド、もしくはゾンビ