笠地蔵の謎
『かさじぞう』。
日本一有名な昔話のひとつではないかと思います。

大晦日に、新年に備えて里へ笠を売りに行ったじーさんが、
結局ひとつも売れずにトボトボと家路についた道すがら、
雪に埋もれた地蔵を憐れに思って笠を被せてやったら、
真夜中に地蔵が食い物やら金銀財宝やらを山ほど持って
恩返しにやってくるという、アレです。

大晦日に笠売っても、そりゃぁ売れねぇだろうと思うんですが、
まあ、そんなことはさておき。

恩返しとはいえ、地蔵が橇(そり)引きずって家までやってくる時点で、
相当恐ろしい光景のように思われますが、
それを怖がるどころか有難がっているじーさんばーさんの
図太い神経というか、厚かましさもさることながら。

私が気になって仕方が無いのは、
この地蔵たちが、そんなにたくさんの貢物を、
いったい何処でどうやって調達したのか、ということでございます。

だって……地蔵ですよ。
某消費者金融のCM(古っ!)のごとく町に繰り出していって、
果たして物を売ってもらえますかね?
普通の人は、多分逃げます。
変装したって、さすがに地蔵じゃあバレバレじゃあなかろうか。
だれか人間に頼むという手もありますが、
頼まれてくれる人間が居るかどうか……。
普通、逃げられます。
もしくは、見なかったことにされます。
まあ……私なら、面白いので引き受けますが(笑)。

しかし、仮に上記のような問題を、
なんらかの手段でクリアできたとしても。

も う 店 は や っ て な い で し ょ ー よ 。

なにしろ笠売りのじーさんが諦めて帰ってきちゃったんですから。
残念ながら、地蔵軍団は、閑散とした年の瀬の人里をうろついて、
なんの収穫も無く、すごすごと帰途に着くしかないわけです。
……じーさんんと同じじゃないか……。
それ以前に、金なんか持ってないだろう、地蔵(笑)!!

しかし、なんとしても心優しいじーさんに恩返しをしたい、心優しい地蔵。

とはいえ、いかな有難い地蔵といえど、なにもない虚空から
ホイホイと鯛だの米俵だの金銀財宝だのを
出してこられるとも思えません。

はてさて。
じゃあその貢物はいったい何処から?

これはもう、きっと追剥、強盗、悪事の限りを尽くして
掻き集めたに違いない(笑)!!
目の前を通りすがる罪も無い旅人から大根を掻っ攫い(何故大根)、
罪も無い里人の大切な正月用の鯛を奪い、
じーさんの家へと向かう道々、罪も無い人々の家を襲って
米俵や鏡餅や門松を巻き上げ、大判小判をざっくざっくと強奪し、
それはもう、筆舌尽くしがたい悪行の数々。

それはまさに、恐怖の極悪地蔵略奪団。
地蔵たちの通った後は、死屍累々、阿鼻叫喚の地獄絵図。

そして、無事、じーさんに恩返し。

地蔵の恩返しに素直に喜ぶじーさんばーさんの陰では、
大勢の罪も無い人々が泣かされているわけです。
ひょっとして、じーさんばーさんも、一夜明けた新年の朝、
表へ出たら、まるで戦の跡かのようなその惨状に、
喜びも束の間、気が触れるか、ショック死するかもしれません。

おいおい、だれも幸せにならないじゃないか。
……な、なんて恐ろしい話なんだ、『かさじぞう』……。
(恐ろしいのは私の頭の中だ。)



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よく考えたら、じーさんばーさんは
地蔵とは直接遭遇してなかったな……。
私が知っている話では、玄関を叩く音がして、
戸を開けたら橇に乗った貢物が置いてあって、
帰っていく地蔵の後姿が見えるんだ。

まあそれにしたって、有難がっている場合じゃないと思うが。
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by zbeat | 2006-10-27 00:49 | オカルト
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