風の香りがわたしを責め立てる
青い草原。草いきれ。
湿っぽい冷たい風が頬を撫で、髪をなぶる。

昔来た場所。
ふたりで月を見上げた。
夜露に濡れる、柔らかな草の上に腰を下ろし、
手を繋いで、ふたりで月を見上げた。
3年前のことだった。

何処をどう走ったのか。
今また、私は、その場所に立っている。

ゾンビになった貴方の頭を叩き割って、
死にもの狂いで逃れついたのは、
昔来た場所。
遠くで化け物たちの咆哮が聞こえる。
独りで月を見上げた。

青い匂いのする風に包まれながら、
私の胸に押し寄せるのは、
悔恨、懺悔、憎悪、絶望。
冷んやりとした風の香りが、貴方の声となって、私を責める。

なにかの手が、私の肩を掴む。
なにかの牙が、首筋に食い込む。

恐ろしくはなかった。
ただ哀しかった。
見上げていた月が、紅く染まった。


                 退廃的な100のお題:鳥篭/お題配布場所



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by zbeat | 2006-07-03 01:01 | リビングデッド、もしくはゾンビ
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