他にはなにもいらなかった
貴方と、ふたりの子供との、平凡だけど、幸せな生活。
お金がなくたって、それさえあれば、
他にはなにも要らなかった。
それさえ守ることができれば、それでよかった。

なのに、貴方が、それを全部ぶち壊した。
朝、いつものように会社へ行った貴方は、
深夜になっても戻らなくて、
浮気でもしているのか、事故にでも遭ったのかと気を揉んで、
私の不安も心配も限界に達しはじめた明け方に、
やっと戻ってきた。

ゾンビになって。

半ば放心したように、浅い眠りのなかにうとうととまどろんでいた私が、
世界を取り戻す前に、貴方は、子供たちの部屋に向かったらしい。

下の子の悲鳴に跳ね起きて、子供部屋に向かった私が見たものは、
無残に食い荒らされた上の子の残骸と、
生きながらはらわたを引き摺り出されようとしている、
下の子の姿だった。

私は半狂乱になって、貴方から下の子を引き離そうとしたけれど、
無駄だった。
私が再び腕に抱いたとき、その子はもう、息絶えていた。

貴方は私の大切なものを、私の幸せを、
全部、ぶち壊してしまった。
他にはなにも要らなかったのに。
私が望んだ唯一のものを、よりによって貴方が、
すべて奪っていった。

一度の浮気ぐらい、なにも知らないことにして、
赦してあげようと思っていた。
どんな事故に遭っても、不治の病に倒れようと、
貴方が生きている限りは、
なんとかなると思っていた。

それなのに。

よりによって、ゾンビになって帰ってくるだなんて。
よくもそんな酷い仕打ちができたわね。

絶対に、絶対に、
絶対に赦さない。
私からなにもかもを奪い去った貴方を、
私は絶対に赦さない。


                 退廃的な100のお題:鳥篭/お題配布場所



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by zbeat | 2006-05-13 20:58 | リビングデッド、もしくはゾンビ
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