君の腕を振り解いて、
僕は逃げ出した。

待って、という、君の声が聞こえたような気がしたけれど、
解っている、それは気のせい。
というより、気の迷い。

ゾンビになった君が僕を追うのは、
僕を愛しているからじゃなくて、
僕が君の餌に成り下がったから。

違う、そうじゃない。
君が、僕の捕食者に成り下がったんだ。

君がゾンビになっても愛し続けると言ったけど、
実際、君のことを憎んだりは今もしていないけど、
それでもやっぱり、君に喰われて、
人類の捕食者に成り下がるのは嫌だよ。

君の腕を振りほどいて、僕は逃げ出した。
いつか別の誰かが、あるいは僕自身が、
君を殺すことがあるかもしれない。

だけど僕が僕として存在している限り、
僕の胸の中で、心の内で、
君は昔の姿のまま、優しく微笑みながら、
永久に僕に寄り添い続ける。
そこでの僕は、君の腕を振りほどいたりしない。
手を取り合って。一緒にいるよ。


だから僕は、幸せだよ。


                 退廃的な100のお題:鳥篭/お題配布場所



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by zbeat | 2006-05-10 23:29 | リビングデッド、もしくはゾンビ
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