棄ててしまいたいのに
棄ててしまいたいのに、どうしても棄てられないモノがある。
何度も棄てようとしたけれど、結局それはできなくて、
今もまだ、窓辺に置かれたままなのは、
貴方の首。

ゾンビになった貴方の頭を、私は鉈で斬り落とした。
そうやって貴方を葬って、それで終わりのつもりだった。
なのに。
貴方の首は、まだ、窓辺に鎮座している。

だって。
首を刎ねられてもまだ、貴方のその頭は、
生きていたんだもの。
生きていて、それを抱いた私の腕に、
喰らいつこうとしたんだもの。

そのとき。
私はそんな貴方の殺し方も知らなくて、
そんな貴方をその場に棄てて行くこともできなくて、
噛まれないように注意しながら、
首だけになった貴方を連れて帰った。
頭だけになってしまった貴方は、
自分で動くことはできないから、
そうやって一緒にいても、危険は無いと思った。

だけど。
私は、大事なことを忘れていた。
貴方はたしかに生きているけれど、死んでもいるから。
だから腐敗する。

窓辺に置かれた貴方の首は、
どんよりと濁った眼で私を追いかけるけれど、
どんどん腐って、強烈な臭気を放って、
腐汁を滴らせている。
もう何処にも、貴方の面影は無い。

棄ててしまいたいのに棄てられないのは、
そんな貴方をまだ愛しているからでは、もう決してなくて、
ただ単に、そんな腐り果てた貴方に触れるもの厭だから。


だから。
私はここを出て行くから、
貴方はそこで、腐り続けて朽ち果てるが良い。


                 退廃的な100のお題:鳥篭/お題配布場所



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by zbeat | 2006-05-07 00:28 | リビングデッド、もしくはゾンビ
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